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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

夜に咲く花

今年はマンゴーの実が、たわわ。2年生の苗木を植えて、はや4年。昨年の後半には、ちゃんと追肥も施した。その成果なのか、今年は「伝統の森」のマンゴーの木の多くがたわわに実をつけている。

昨年あたりから、ジャックフルーツの木にも実がたくさんなるようになった。こちらは大きな実。ときには、40センチ以上にもなる。

「伝統の森」では、これまでにもいろんな種類の果樹を植えてきた。が、元気に育つのは、このマンゴーとジャックフルーツ。それ以外にも、マンゴスチンやランブータン、竜眼(リュウガン)やリンチーなど、いろいろ試してきたが、成長はいまいち。

「伝統の森」で働き始めて5年・6年になる若い衆たちが結婚して、子どもができはじめた。これまでは長屋形式の宿舎だったが、彼らのために昨年あたりから、そんな新婚さんのために独立家屋を建ててきた。いわば社宅。

簡単な木造高床式で、サイズは4×7.5メートル。そして土地には、間口10メートル奥行15メートルの占有がつく。森に暮らす男連中が、手を合わせて自分たちの家を作る。いいよな、給料をもらいながら、自分の家を材料費つきで建てられるのだから。

家ができると、わたしは必ず、彼らにマンゴーとジャックフルーツの苗木をプレゼントする。家の前に植えられた、その苗木が成長するするように、彼らの家族が元気に暮らしていってくれればいいと思う。

最近、ジャックフルーツの苗木を250本準備した。この苗木は「伝統の森」で育った木から実がなり、その種からできたもの。だから第二世代にあたる。5年後には、この木から新しい実がなりはじめる。そのときには、その実を乾燥させて、ドライジャックフルーツのお菓子を作り、売り出そうと考えている。それを仕事にすることで、また何家族かが食えるようになる。そんなスモールビジネスの準備の意味もある。

この時期、「伝統の森」でいくつかの木の花が咲く。わたしが好きな、森の花のベストスリーもこの時期に。真っ赤な、不思議な形の花を咲かせる、沖縄のデイゴーの花。そして、わたしが「山桜」と勝手に呼んでいる、その木もこの時期に花を咲かせる。さらにもうひとつ、別格の花が咲く木がある。和名はわからないが、ちょうど合歓の木を一回り大きくしたような、そのピンクの花は、朝、木の下に散って落ちている。

初めのうち、そんなたくさんの花が散っている風景は見かけるけれども、その花が木に咲いている光景を見かけることがなく、不思議に思っていた。そして、偶然なのだけれども、わたしの家の前にもその木があり、今年から花が咲き始めた。といっても、地面に落ちている花を見かけるだけだった。

数日前、朝の5時、まだ薄暗いなかで、その木を見て驚いた。木に花が満開に咲いているではないか。そして、それらの花は、朝方の陽光とともに落下していく。その花の謎がとけた。夜光華なのである。

毎年2月に、きれいな小さな花を満開に咲かせる山桜もそうだけれども、わたしが植えた木ではない。もともと、この「伝統の森」の自然の中にあった木たちである。自然の森を育てながら、住居に隣接した地域にある木は、実がなる、花が咲く、そんな有用樹を残すようにしてきた。その結果、数年して木が育ち、花が咲き、実がなるようになってきた。

更新日時 : 2009年3月11日 10:39

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