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<title>IKTT ：（クメール伝統織物研究所）森本喜久男</title>
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<title>カンボジアシルクの未来のために</title>
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<published>2010-05-14T10:41:19Z</published>
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本当に急に決まった。というか、お招きがあった。そして昨日、案内状が正式にわたくしの実家へ届いたので、夢ではないのだろう。とても光栄なことだと思い、お受けした。もともと野にいる人間だから、晴れがましくもある。そして、わたしにすれば、なかば狐に包まれたような話でもある。

カンボジアのシハモニ国王が、まもなく国賓として日本に招かれるということは、ニュースで聞いていた。その一連の国賓行事のひとつとして、鳩山首相御夫妻主催の午餐会が首相官邸で催される。その席に、わたくしもお招きを受けた。これはきっと、わたくしにカンボジアの黄色いシルクの未来のために、鳩山首相にお会いしてお話をさせていただく、その大切な機会をいただいたのだと、いま思っている。
これまでカンボジアでは、フランス勢が中心になってシルクの国家プロジェクトに絡んできた。それは、江戸末期に日本へ近代養蚕の技術を伝播させた、フランス・リヨンの専門家たちの姿に重なるものがある。しかし、というか、その基本は近代養蚕と呼べる大量生産を目指したものが主流である。

だが、時代は２１世紀。もう大量生産の時代は終わった。これからは、適正生産と適正消費の時代に移行していくはず。そのなかで、大量生産のために品種改良されてきた中国シルクではない、タイシルクでもない、カンボジアのシルクの新しい未来がそこにある。

カンボジアの黄色いシルクは、機械生産には向かない非効率的な蚕だといわれてきた。しかし、中国や日本の効率化と大量生産をよしとして改良され尽くされた蚕の吐く生糸の質は、間違いなく低下している。しかし、昔ながらの非効率的な黄色い蚕は、丈夫でしなやかな高品質な生糸を吐く。

カンボジアの貧しい農家を支える現金収入の一つとして、この黄色い生糸の生産を支えることは大切な事業である。しかしそれは、決して大量生産の効率化を目的にした方向ではなく、新しい市場に向けたものではなくてはならない。

カンボジアの農村のゆるやかな発展のために、伝統的な養蚕事業を育成するための知恵や経験は、日本の専門家のなかにも眠っている。それは、今となってはほとんど壊滅してしまった、効率化を目指し続けた日本の養蚕業の結果である。その技術や経験を、これから非効率的な養蚕業のために生かしていただければと願っている。それは、養蚕業の新しいダイレクションであり、未来となるはず。
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<title>５月１７日（月）、ＩＫＴＴのシルク展示販売のご案内</title>
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<published>2010-05-12T11:58:47Z</published>
<updated>2010-05-12T11:59:35Z</updated>

<summary>５月１７日（月）に、高円寺庚申文化会館でＩＫＴＴのシルクの展示販売を行ないます。...</summary>
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５月１７日（月）に、高円寺庚申文化会館でＩＫＴＴのシルクの展示販売を行ないます。この日は、かしこまったかたちでの報告会というわけではないですが、なりゆきまかせの森本雑談会のような感じになると思います。

と　き：５月１７日（月）１８時～２０時３０分
ところ：庚申文化会館（高円寺）
住　所：東京都杉並区高円寺北３−３４−１　（茶房高円寺書林のすぐ隣です）
電話：０３−５３５６−９０８１
http://www.koshin-bunka.com/
アクセス：ＪＲ高円寺駅北口の高円寺純情商店街を直進。突きあたりを左折し、
すぐに右折。左手に高円寺文庫センターを見て、ＤＶＤドラマのすぐ先。



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<title>５月１６日（日）、森本喜久男＆内藤順司トークショーのお知らせ</title>
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<published>2010-05-11T11:55:43Z</published>
<updated>2010-05-12T11:57:50Z</updated>

<summary>　５月１６日（日）、高円寺で、フォトグラファー内藤順司氏とのトークショーを開催い...</summary>
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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　５月１６日（日）、高円寺で、フォトグラファー内藤順司氏とのトークショーを開催いたします。会場では、ＩＫＴＴのシルクの展示販売も行ないます。

と　き：５月１６日（日）１８時３０分〜２０時３０分
ところ：庚申文化会館（高円寺）
住　所：東京都杉並区高円寺北３−３４−１　（茶房高円寺書林のすぐ隣です）
電話：０３−５３５６−９０８１
http://www.koshin-bunka.com/
アクセス：ＪＲ高円寺駅北口の高円寺純情商店街を直進。突きあたりを左折し、すぐに右折。左手に高円寺文庫センターを見て、ＤＶＤドラマのすぐ先。

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<title>「蚕まつり２０１０」のご案内</title>
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<published>2010-04-30T11:54:21Z</published>
<updated>2010-05-12T11:55:17Z</updated>

<summary>　今年の「蚕まつり２０１０」の日程が決まりました。 　ファッションショーを含む前...</summary>
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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　今年の「蚕まつり２０１０」の日程が決まりました。

　ファッションショーを含む前夜祭が９月１１日（土）、翌日の１２日（日）の早朝に、蚕供養を行ないます。今回は、いくつかの都合により、満月の日ではなく、少し繰り上げての開催となります。

　すでに、日本からの「蚕まつり」参加ツアーの打診をいただいております。ありがとうございます。また、海外からの開催問い合わせもありました。日本から若手の雅楽楽団の参加も予定されており、できればアプサラダンスの踊り子たちとのジョイントを......、と考えてみたり、前夜祭はさらなるバージョンアップに向けて、構想を練っております。お楽しみに。

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<title>例年ならば</title>
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<published>2010-04-30T11:52:41Z</published>
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<summary>　例年ならば、乾季のこの時期にも、ときに雨が降ったりする。でも今年は、本当に雨な...</summary>
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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　例年ならば、乾季のこの時期にも、ときに雨が降ったりする。でも今年は、本当に雨なしのお正月だった。しかし、やっと昨夜になって、雨が降ってくれた。４月は、カンボジアの夏。ここ数週間ほど毎日４０度近い気温で、久しぶりにサウナ状態。じっとしていても汗が出てくる。朝、昼、夕方、そして寝る前と、一日に４回も水浴びをする、したくなる、そんな時期である。

　そんなときに、最近のお気に入りは、岐阜を訪れたときに買った赤茶色の防水加工がしてある小ぶりの「うちわ」。むかし子どもの頃、家の台所にあったのと同じ。岐阜ではいまも、細々となのだろうが、そんなうちわを作る職人さんがいる。じつは、この赤茶色の防止加工はラックの樹脂なのである。私たちが、赤色の染めに使うのと同じ、ラックカイガラムシの巣から得られる樹脂が使われている。だからそれを知ったとき、このうちわに不思議な縁を感じたりした。

　そして、このうちわ、わたしがローケツ染めをするときに、ローを溶かすコンロに入った炭に風を送るのに活躍している。小ぶりで、でもそのわりに風が強く丈夫なので重宝している。京都でキモノにローケツ染めを描いていた頃は、電気コンロだったが、今では昔なりの炭を愛用している。パタパタとうちわで一あおぎ、そうするとローの温度も上がり、気持ちよく筆が走る。

　夏バテしていた蚕も、この雨で、少し元気を取り戻してくれるだろうか。そして、久しぶりに降った雨のせいか、緑の木々がきれいに見える。人もそうなんだが、きっと木々も雨のお陰でほっとしているんだろうなと思う。


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<title>Ｊ-ＷＡＶＥ特別番組&quot;BLUE PLANET&quot;放送のご案内</title>
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<published>2010-04-27T11:51:40Z</published>
<updated>2010-05-12T11:52:26Z</updated>

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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　５月４日（緑の日）に放送が予定されているＪ‐ＷＡＶＥ（ＦＭ放送）の特別番組&quot;BLUE PLANET&quot;で、カンボジアのシエムリアップが取り上げられます。

　この番組のなかで、さまざまな活動を展開しているＮＧＯ「るしな」の松本清嗣さん、上智大学アンコール遺跡国際調査団の三輪悟さん、そしてわたしへのインタビューが取り上げられる予定です。
<![CDATA[　現地取材にやってきたのは、モデル・女優として活躍中の杏さんです。彼女はＢＳ日テレで放送された「世界で勝負！グレートジャパニーズ」のナレーションも務めていたので、お会いしたときにも「映像で見ていたので、とても興味がありました」とおしゃっていただけました。

　放送は、５月４日（火）の１８時から１９時５５分までです。

　なお、Ｊ‐ＷＡＶＥの番組ホームページから番組へのメッセージや感想をお寄せいただくと、抽選で５名に、クメール伝統織物研究所のシルクスカーフと日本興亜損保のエコキャラクター「エコラッタ」のぬいぐるみ＆携帯ストラップをセットにしたプレゼントがあるそうです（詳しくは以下のＷｅｂサイトをご覧ください）。

<a href="http://www.j-wave.co.jp/holiday/20100504_sp/">▼Ｊ-ＷＡＶＥ特別番組"BLUE PLANET"</a>
]]>
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<title>帝塚山大学「あかね祭」での写真展とギャラリートークのご案内</title>
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<published>2010-04-27T11:49:52Z</published>
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<![CDATA[　５月２日（日）の帝塚山大学「あかね祭」で、写真展「甦るカンボジア：伝統織物の復興が"暮らし"と"森"の再生に至るまで」と、フォトグラファー内藤順司氏によるギャラリートークの開催が決まりました。

　この写真展は、２月に東京広尾のＪＩＣＡ地球ひろばで開催された内藤順司写真展「甦るカンボジア」の、大学巡回展という位置づけになります（現在、いくつかの大学において関係者のご協力を得て開催準備を進めております。開催が確定したものから、今後、順にご紹介させていただきます）。

　今回の写真展とギャラリートークは、帝塚山大学のご協力のもと、同大現代生活学部居住空間デザイン学科と日本織物文化研究会との共催により実現の運びとなりました。実現に至るまでのさまざまなご調整にご尽力いいただいた植村和代先生、そして関係者のみなさま、ほんとうにありがとうございました。

　と　き：５年２日（日）１０時〜１７時
　ところ：帝塚山大学　学園前キャンパス
　　　　　１６号館２階エントランスホール
　アクセス：近鉄奈良線「学園前」駅下車（大阪難波から約２８分）
　　　　　「学園前」南出口徒歩約１分
　　　　　（駐車場はありませんので、公共交通機関をご利用ください）
　◎ギャラリートークは、１４時から、写真展会場（１６号館２階エントランス
　ホールで開催されます。
　※会場では、ＩＫＴＴで織り上げられたスカーフやハンカチも販売予定です。

<a href="http://www.tezukayama-u.ac.jp/access/">帝塚山大学　学園前キャンパス（アクセス）</a>
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<title>さそり座だけれども</title>
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<published>2010-04-17T11:48:08Z</published>
<updated>2010-05-12T11:49:06Z</updated>

<summary>　昨夜のこと。いつもは１０時まで動いている「伝統の森」の自家発電機が、９時前に突...</summary>
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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　昨夜のこと。いつもは１０時まで動いている「伝統の森」の自家発電機が、９時前に突然停まった。最近では、約３５軒ほどの、ほぼ各戸にテレビがあるという状況に加え、この暑さで扇風機を回したりするようになると電力不足になる。

　「伝統の森」では、夕方５時から夜間１０時まで各戸に電気を供給している。日本の家庭に比べれば、電化製品などないに等しいのだが、それでも２５キロワットの発電機では、さすがに限界に近いのが現実である。

　ゆくゆくは雨季の川の水を利用した小水力発電なども併用し、エネルギーの自給を目指したいが、現状は石油燃料のディーゼルまかせである。ソーラーパネルもいいのだが、夜間に使おうとすると大量な蓄電のためのバッテリーが必要になる。そして、このバッテリーは消耗品で、一年は持たない。結果、ソーラーパネルも「伝統の森」においては、けっして優れたものではないとわかった。

　もう一点大切なことは、電気をただ消費するのではなく、電気を使わない生活の仕方を考える、というのが本当は大切なのだと、「伝統の森」に暮らしながら思うようになった。

　「伝統の森」で、消費電力の大きなものの筆頭には揚水ポンプがある。各戸への生活用水の供給のために、これは必需品。そして、最近のアクシデントの元凶はアイロン。おそらく正月前でおしゃれをするため、服にアイロンをかける頻度が増えている。その結果、容量オーバーとなり発電機がストップ。わたしも、寒い時期のために電気温水器を設置したが、いまではこれも宝の持ち腐れ、使えないでいる。水浴び用のお湯を沸かすために「伝統の森」の迎賓館用に、プロパンガスの湯沸器を設置した。これも、ゆくゆくはバイオガスで沸かせたらいいなと思ったりしている。
　停止した発電機の様子を見るために、懐中電灯を手にパワーステーションと呼ぶ小屋へ向かう。この発電機には、二人の男性担当者がいる、しかし、一人はお正月の帰省で不在。助手の若い男性が、停まった機械を前に不安そうに待っていた。機械の様子を見るが、暗いこともあり、詳細は不明。明日の朝にもう一度点検することにして、隣の配電盤のある小さな部屋へ。懐中電灯を手に、パチパチとスイッチを切りはじめた。すると、足元に「チクッ」と痛みが走った。

　足元を照らすと、えっ。５センチほどの小さなサソリがいる。やられた。後ろから来ていた助手の男性が、その瞬間サソリ君を踏み潰した。

　「伝統の森」でも、材木などが積まれたところなど、サソリが好きそうな場所はある。そういうところでは、それなりに注意しながら作業をするのだが、暗闇のまさかの所にいた。

　刺されたわけで、痛みが走る。２００メートルほど離れた母屋に戻る。歩きながら、誰か薬は何がいいか知っているかと闇の中に向かって声をかける。「伝統の森」のスタッフの家は、停電で真っ暗。でも闇の中からは「ニンニクだ、ニンニクがいい」と声が返ってきた。

　家に着くと、声をかけてくれた男たちが数名、すぐに後を追いかけてきた。早速、お絵描き組のリーダーの、マリーがニンニクを刻んでくれた。そして、みんなでよってたかって、ニンニクを私の足の傷口にすりこんでくれた。

　痺れがひろがり、痛みがある。初めての経験だから不安。足の付け根あたりまで痛みが広がる。でも、みんな口を揃えて「大丈夫だから」という。わたしは、しつこく本当か、と尋ねた。サソリに刺されたときの対処法を、何かで読んだ記憶があるのだが思い出せない。

　みんながニンニクをすりこみながら、「大丈夫だから、明日の朝には痛みは引くから」と繰り返す。マリーに、もう一度、本当にに大丈夫かと念を押す。カンボジアのサソリは、マレイシアなどで見かける黒く大きなものに比べれば、一回りは小さい。そして、色も茶褐色。黒い大きなサソリに刺されれば、病院に走らなければならない。

　マリーいわく、「わたしも２度ほど刺されたことがあるけれども、大丈夫だから」とのお言葉が、返ってきた。それを聞いて少し安心する。

　じつは、わたくし１１月生まれの蠍座。でも、そのわたくしが、なんの因果でサソリに、などとしばらく考えてみる。それも、お正月の３が日に。でもこれもなにかきっといいことのさきがけだと勝手によいほうに考えるわたくし。

　念のため、手持ちの痛み止めの抗生物質を飲んだ。しばらくは痛みがあり寝付けなかったが、それでもやがて夢のなか。翌朝、目が覚めると、痛みもなく痺れだけになっていた。

　森のおばあの一人、オムライがうわさを聞きつけて、覗きに来た。「わたしはもう数え切れないほどサソリに刺されてきているけれども、なんともないから」そして笑いながら、「何時に刺されたんだ」と聞いてきた。昨夜の９時過ぎと答えると、「じゃ、今夜の９時過ぎには全快しているから、安心しろ」と。

　夜中に侵入してきた水牛を追いかけて、森の男たちみんなで林のなかを走る。そんなとき、みんなが怖いのは毒蛇だという。だから、サソリぐらいでは何ともない。みんなそんな顔をしている。

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<title>新しい年を迎えたカンボジアから</title>
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<published>2010-04-14T11:40:59Z</published>
<updated>2010-05-12T11:44:07Z</updated>

<summary>　例年、新年は天から降臨するテワダーと呼ばれる天使の、地上への到着時間に明けると...</summary>
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　例年、新年は天から降臨するテワダーと呼ばれる天使の、地上への到着時間に明けるとされている。そして、今年はそれが朝の７時半だった。

　面白いのは、降りてきた天使が最初に口にするもの、それが今年はなぜか牛乳だった。カンボジアのような暑い国では、乳牛は育てにくい。だから、一般的には乳製品は輸入に頼っているはず。よく買うスーパーのパック牛乳がアルゼンチン産だと知って驚いたことがある。だから、そんな一般的でない牛乳を天使が所望する、というのも不思議な気がした。

　といっても、考えてみれば村には、牛や水牛がたくさんいるわけだから、そのミルクを所望するのも不思議ではない。すぐに製品化された牛乳を思うから、そうなるだけのこと。
　牛といえば、春耕祭（春耕節）という催しが、この４月にある。一年の豊穣を願って執り行なわれるヒンドゥー教の影響を受けた儀式である。例年、プノンペンで執り行なわれてきたが、今年はアンコール・トムの、象のテラスの前で執り行なわれるらしい。国を挙げての豊かさを願う大きな催しで、その儀式の主役となるのは、コブを持つ一対の大きな白い牛である。

　そんなことを考えながらこのメール原稿を書いていたら、「伝統の森」の池のほうからカランコロンと水牛の首にかけられた木鐸の音が聞こえ始めた。乾季のあいだ、餌を求めて放し飼いの水牛たちが「伝統の森」の桑畑に侵入してくる。しかし、以前に比べればその数は減った。昨年は、そんな侵入してきた水牛を捕まえ、森のみんなで食べてしまったのだから。

　「伝統の森」の池のほとりの水面に面したところで、まだＩＫＴＴの土地ではないところが２００メートルほどある。そこが水牛たちの侵入路となっているのだ。陸地には境界の柵がしてあるが、池の中から侵入してくるために、なかなか防ぎようがない。しばらくして「水牛が！」と知らせが入った。見に行くと、池のこちら側の、工芸村エリアの一角にある桑畑に、大きな水牛が入ろうとしている。さいわい、そこには頑丈な柵がしてあるので、そのまわりで雑草を食んでいた。

　何人かの男たちが、その２００キロはあるような大きな水牛を池の中に追いやり、そこから侵入地帯の奥の、１０頭はいる水牛の群れを押し返している。例年なら「伝統の森」の住人の多くは、田舎に帰省してしまうのだが、今年は８割方が「伝統の森」に残っていた。おかげで、こういう緊急事態にも対処でき、助かった。腰に巻いていたクローマーを外し、パンツ一枚で水牛を追いかけ、池に入る男たち。手馴れたものである。なかには、パチンコを、水牛の群れにめがけて撃つものも。......やがて、そんな騒ぎもひとしきりして、収まった。

　「伝統の森」の池の水面を、カワセミが行き来する姿が見える。「伝統の森」には、いろんな種類の鳥たちがいる。なかでもカワセミはなかなか美しい。クーレン山のほうからくるのだと思うが、鷲も飛来する。でも、この鷲は、みんなが飼っている鶏やアヒルのひな鳥を狙うので、森のみんなからは嫌われている。

　「伝統の森」の池では、ピンクの蓮の花が満開に咲いている。蓮は、その実をおやつにする子どもたちにも人気なのだが、その花が池一面に満開に咲く姿はなんといっても美しい。

　でもこの蓮の池、「美しいものには刺がある」のたとえどおり、その茎は小さな棘で覆われている。それを知らずに、蓮の美しさに誘われ、池の中の揚水ポンプの取水口を掃除するために池に入ったはいいがスリ傷だらけになったことがある。でも、それも歩き方で避けられることを後から知った。これも、何かの教えかもしれない。無理してやろうとすれば、その棘が刺さり、その姿に従えば何の無理もない。美しい花の持つ教えなのかもしれない。

　「伝統の森」の住人の多くは、朝からトラックの荷台にてんこ盛りに乗って、アンコール・ワットにお参りに行き、まだ戻ってきていない。新年の一日を、みんなが楽しく過ごしているのだと思う。

　たくさんの困難な課題も抱えながらも、しかしそれにもめげず、新しい年が明けた。「伝統の森」、そしてＩＫＴＴ、そしてすべての皆さまにとって、新しい年が実り多きよき年であることを願いながら、ここに新年のご挨拶とさせていただきます。

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<title>ほんものの木綿の布</title>
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<published>2010-04-04T11:37:23Z</published>
<updated>2010-05-12T11:40:29Z</updated>

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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　ある日、スウェーデン人の男性が「伝統の森」に突然やってきた。そして、一枚の藍色に染められた大判のスカーフをカバンから取り出した。

　広げられたその布は、繊維の特質なのだろうか、それに手織り独特の柔らかさが加わり、少しふんわりとしたすてきな表情がある。そして彼は、これはシルクだと思うかと、畳みかけるように聞いてきた。

　拡大ルーペを取り出し、繊維を見る。繊維の絡み方が、シルクとは少し違う。ＩＫＴＴの生成りの布の繊維ともう一度比較してみる。一見、シルクにも思えるが、ふんわりとしたボリューム感は、アクリル系の繊維だろう。布のなかに手を入れると独特のぬくもりがある。これと同じものが織れるか、とも。そして、その謎かけは、これを織れるところを知っているか、と続く。
　染められた藍のブルーが、とても決まっていた。もちろんそれは、ジーンズなどを染めるのに使われている、インディゴ・ピュアーと呼ばれる化学染料だと思える。が、もうひと工夫している。どちらかといえば、コバルトブルーと呼べるような色の深みがあり、なおかつ透明感がある。織りの組織そのものは、平織りの、とてもシンプルなもの。しかし、そのうえで嫌味のない味と質感を出している。使われている糸は、機械織りの均一の糸ではなく、太さがまちまちで、いわゆる手紡ぎの風あいがある。繊維の特質と、染料の癖を理解したうえでの、技の仕事のように思える。「伝統の森」でも、綿花を栽培し、手で綿を紡ぎ、木綿の布を織っているが、それだけの世界にはまだ至れずにいる。上には上がある。布としてのトータルな完成度を高めることは、そんなに易しいことではない。

　彼はこの布を持って、ラオスやタイ北部の、綿の手織物がさかんな地域や、ミャンマーやベトナム、そして雲南と回ってきたらしい。そして、これと同じ布を作れるところは見つけられずにいると話していた。そして、同じように手紡ぎの木綿糸で織られた布も探しているらしい。しかし、同じように出会うことはできなかったと。逆に、回った先々で、これはどこで織った布だと聞かれ、譲ってほしいといわれたとも。

　わたしは「伝統の森」で織った木綿の布を見せた。彼は、ほんとうの手紡ぎの木綿だと驚いていた。タイやラオスの村や市場でも、手紡ぎの木綿だといって見せられる布のほとんどは、「ガラ紡」と呼ばれる簡単な機械で紡がれたものがほとんど。風合いが違う。糸の張りとやさしさ、緊張感が違うのだ。ほんとうの手で紡いだ糸で織られた布は、アンティークのものでしか見られなかったというのが、東南アジアの、いわゆる手織りの産地を回ってきた彼の結論だった。ラオスあたりであれば、まだ手紡ぎの木綿の布を織っているおばあたちがいてもおかしくないと思うのだが、でもそんな布は、店には並ばないのかもしれない。

　そんな話をしながら、彼は「伝統の森」の木綿の布を手に取り、しみじみと見ていた。そして、彼は話し始めた。じつは、これまで１５年間、スペインを拠点に、お茶のビジネスを幅広く手がけてきた。インドやセイロン、タイ、中国そして日本にも出かけた。そして今、新しいビジネスをはじめようと思っている。男性向けのショールやスカーフを販売するビジネスに興味があるのだ、と。そしてハイクォリティのものが欲しいのだと付け加えた。彼はいま、そのための市場調査をしている途中のようだった。

　「伝統の森」の木綿の布には、シルクの倍の値段が付いている。それを聞いて木綿はふつう安いものだと思われているから、たいていの方は驚かれる。じつは木綿が安いものになった現代の常識には、大量生産の歴史がある。そしてそこには、アメリカのコットンフィールドに奴隷として連れてこられた人々の労働に始まり、機械化による産業革命を背景にした、農薬を使った大規模栽培と、機械化による灌漑や収穫など、木綿にまつわるさまざまな物語が積み重なっている。

　シエムリアップの市場で売っている、クローマーと呼ばれる布がある。多目的な用途で、日常的に使われるタオルのような、カンボジアの伝統的な木綿布である。内戦前には、バッタンバンやコンポンチャムには木綿の製糸工場もあり、一大産地を形成していた。しかし現在、市場に出回っているクローマーの主流は、綿糸は輸入に頼り、そのほとんどは機械で織られたもの。残念なのは、廉価な品質の低い木綿糸を使っているせいなのか、もちが悪い。それは、コストを抑えて仕上げ、使い捨てでよいという生産者の姿勢なのかもしれない。しかしそれは、買う側にも、とにかく安いほうがよいというデマンドがあるからなのだろうが。

　こんな話がある。しばらく前のことになるが、日本のアジアン雑貨の仕入れ担当の女性が、プノンペンで仕入れてきた「クメールシルク」の布をたくさん抱えて、訪ねてきたことがある。彼女曰く、どうもシルクじゃないような気がするのだが、見てもらえないだろうか、と。それは明らかにシルクもどきの化繊の布。それが日本に持ち帰られて「クメールシルク」のスカーフとして売られるのだろうと思うと、考え込んでしまう。

　だが、その理由は簡単だ。彼女はプノンペンで仕入先のオーナーに、やみくもに安い値段を提示して交渉に挑んだ。その結果出てきたものが、その布なのである。シルク（生糸）の国際市場での価格はあるわけだから、それよりも安いシルク（布）は存在しない。彼女が国際市場の価格よりも安い値段まで値切ったことで、その店のオーナーはシルクではないものを渡さざるをえなかった。そして、彼女には、それを見分ける眼がなかった。

　スウェーデン人の彼と話しながら、あらためて、ほんものの布を作ることの大切さを考えた。大量に生産して、大量に消費するという時代は終わったのだ。ほんとうによいものを大切に使う。そんな時代がやってきているはず。彼は、お茶のビジネスを１５年やってきたうえで、これからのあたらしいビジネスを布の世界、それもほんものの布を扱う、そんなことに興味を持ち始めたようだ。

　最後に彼は、これをスウェーデンの友達に見せたいと、シルクの倍の値段がする「伝統の森」ですべての素材がまかなわれた、１００％ピュアーオーガニックの、一枚のクローマーの布を買っていった。しばらくして、これから飛行機に乗るところだと、バンコクの彼からメールが入った。そして、そこには次にシエムリアップに戻ってきたら夕食に誘うから、と付け加えられていた。
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<title>森羅万象、そして日々の暮らし</title>
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<published>2010-04-02T11:33:21Z</published>
<updated>2010-05-12T11:34:24Z</updated>

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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　めずらしく、ひと月に２度も満月のあった３月が過ぎた。月の満ち欠けを見ていると、すべての森羅万象がそこにあるように思う。

　そんな月だから、なにかスペシャルなことがあるかな、と楽しみにしていたのだけれど。いつもと同じように、あわただしく一か月が過ぎていった。考えてみれば、太陽暦と陰陽暦のずれでしかない。

　あいかわらず現場で過ごす、それが取り柄のような毎日。乾季に入って、桑の木の潅水は大丈夫かとか、また周辺の村から水牛が餌を求めて桑畑に入ってこないかと心配したり。昨年、みんなで侵入してきた水牛を食べてしまったからか、今年は今のところ、不法侵入の水牛の捕獲は一頭だけ。それも念書にサインだけで、持ち主に返してあげた。

　小型発電機のエンジンがおかしい、部品が手に入らないからプノンペンで探してもらおう、とか。「伝統の森」の入り口近くの井戸のそばに建てた、あたらしい染め場の水はけがよくないからそれを直そうとか、そんなふうに日々が過ぎていく。
　「伝統の森」の女性たちは、自前の蚕の飼育の忙しさに加えて、プノムスロックの村から届いた繭の糸引きに、忙しい日々をすごしている。手引きされた、きれいな黄金色の糸の束が並び、それが陽に輝いている。

　去年の１０月、洪水と濁流のなかに埋もれた「伝統の森」。そのときに、土が流され大きな砕石が露出していたところがある。そんな傷んだ道路の修復にもようやく手がつけられた。大型ダンプ２台分の、ラテライトの小さな砕石入りの赤い土を、道に沿ってきれいに引いてやった。あとは、耕耘機に土を積み、スコップとクワを使って、森の男たちの手仕事である。野菜畑の奥では、あたらしい桑畑の開墾も始まった。昨日からは、乾季の渇水に備えて、あらたな井戸の掘削が工芸村の「森の迎賓館」のそばで始まった。

　乾季には乾季の、雨季には雨季の、仕事が待っている。でも、この積み重ねで「伝統の森」の景色は日々、少しずつ変化していく。

　そんな忙しい日々のなかで、「伝統の森」に訪ねてこられる方も、少しずつだが増えてきている。うれしいこと。感謝、ありがとうございます。

　ドイツで何度か再放送されている、ＩＫＴＴを紹介したドキュメンタリー番組を見て、どうしても自分の眼で見たかった、といわれたドイツ人の若い夫婦。

　美しい秘書の方を伴って、突然訪ねてこられたスイス人の社長さんのような方も。このお二人は、森に少し似つかわない、しゃきっとしたスーツ姿で、なにやら視察風だった。そして、具体的な質問が、次々と飛び出してくる。

　ＩＫＴＴを訪ねることが目的でシエムリアップにやってきて、みんなの織りの仕事を見ながら一日を過ごし、子どもたちと遊んでいかれた日本人の女性も。

　そして先日は、「伝統の森」で約３週間過ごされた大学生の方も。彼女は、先生の許可のもと「伝統の森」に滞在して単位がもらえるらしい。いいな。

　卒論でＩＫＴＴの活動を取り上げたい、という方も少しづつ増えてきている。「伝統の森」で、ＩＫＴＴが取り組んでいる仕事は、実はとても範囲が広く、深い。伝統織物のプロジェクトをやっているＮＧＯだと思って来ると、びっくりされるはず。

　なぜなら、それはそのまま、そこに暮らす人びとの生活そのものだから。風土と呼べる自然があり、それを生かして、ものづくりに取り組んでいる。伝統に根ざした織物があり、それを生業として暮らす人びとの喜怒哀楽が、ここにある。

　わたしにすれば、それはそのまま毎日がライブ、真剣勝負の日々である。ときには気が抜けない３００人の人たちと、がっぷり四つに組んで、さあ！、みたいな感じだったりする。なかには、怠け者の男たちもいたりするから、そんな彼らは自分が怠け者であることを自覚していない節がある。でも、わたしは彼らに言う。怠けるのはいいけれども、その分の給料しか払わないから、と。

　そして先日は、夜中の３時に起こされた。臨月の織り手の女性が、産気づき、陣痛が激しくなったからシエムリアップの病院に行きたいと。その日は、農薬のかかったスイカを市場で買った別の家族が、下痢と吐き気に苦しみ、夜１１時に病院に担ぎ込むことがあったばかりで、今度はわたしが車を走らせた。森に戻ってきたとき、空は白みはじめていた。

　５年ほど前であれば、プノンペンまで３００キロを日帰り往復、それを一人で運転なんていうのも平気だった。１０年前は、カンボジアの冗談のようなオフロードを、バイクで駆けていたのだから。が、さすがに６０歳も過ぎた身になるとそんなエネルギーはなくなってきた、と自覚する日々でもある。

　そんなわたしだけれども、「伝統の森」では、ときに藪医者もどきもする。ファーストエイド、いわば緊急治療の類。

　切り傷や、転んで怪我したり、火傷。破傷風のように、雑菌が入り、腐り始めた皮膚を消毒薬できれいにして薬を塗る。じつはそんな消毒で使う薬は、うがい薬で有名なリステニン、重宝する薬である。そしてメンソレータム。この二つは欠かせない。そしてもう一つ、タイの粉薬で「秘密の粉」みたいな、怪しい名前の薬。これは、おそらく抗生物質が入っているのだろう。外傷に塗ると、傷口が乾き、肉が戻ってくる。

　わたし自身も、バイクでの転倒を何回も経験し、あるときは大型トラックとの激突を避けるために、バイクと一緒に飛んだこともある。ときには怪我になり、それを自分で治してきた、そんな経験が生きている。

　いまは会長となられて現役引退された、日本のある薬局チェーンの社長さんからは、いまでも毎年、使用期限切れ間近かで店頭に出せなくなった薬を、ダンボール一箱、届けていただく。風邪薬や胃腸薬、痛み止め、目薬、なかには栄養剤や痔の薬も。本当にありがとうございます。感謝しております。この薬のお陰で森の住人たちは元気に暮らしております。毎日、わたしの家には村の薬局よろしく、薬をもらう人が訪ねてくる。わたしの母親からもらった関節や腰などの炎症を抑える鎮痛シップも重宝している。もちろんすべて無料。

　先日、織り手の女性の旦那さんが、オートバイ事故で捻挫し、歩くのも不自由で、痛みが止まらないとやってきた。薬だけではなく、マッサージをしてほしいという。薬を塗りながら、筋肉と筋を矯正し、徐々にほぐしていく。一週間ほど続けたところ、痛みも和らぎ、普通に座っていても痛みがなくなり、歩くのも楽になったようだ。カンボジアの村には、どこの村にもクルークメールと呼ばれる伝統医療のような役割を担う人がいる。わたしも、いつのまにか「伝統の森」のクルークメールもどきになりはじめたのかな、と思ったりもする。

　３００人ほどの人びとと暮らしながら、布を作る、そんな日々。３００人分の喜怒哀楽も込みで引き受ける毎日である。

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<title>「伝統の森」はもう夏</title>
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<published>2010-03-24T11:25:18Z</published>
<updated>2010-05-12T11:26:49Z</updated>

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　まだ３月なのに、と日本では思われるかもしれないが、暑さでコンピュータがダウンした。室温が３８度を超え始めたころから、コンピュータの反応は遅くなり始め、働きたくないと言っているようだった。湿度も４０％を切っている。普段は使わない扇風機を回してやる。そうすると少し涼しいのか、元気を取り戻したコンピュータ君。

　バンティミィエンチェイ州のプノムスロックの村から、いつものように鮮やかな黄色い繭が２０キロほど届いた。去年までは生糸が届いていたのだが、最近では繭で届くようになった。フランスの企業が操糸機械で引くために、村人から繭のままで大量に買うようになった。その結果、手引きの手間をかけないで換金できたほうがいいから、という簡単な理由だ。安易さに走る。やはり、人間は怠惰な動物なのだろうか。こうして何百年の伝統は、いともたやすく崩壊しそうだ。
　繭のまま届いたプノムスロックの蚕は、「伝統の森」の蚕よりも、孵化するサイクルが一週間ほど早い。蚕は４５日のライフサイクルを繰り返す。だから、年にほぼ８回の繁殖を繰り返すことになる。しかし、ときに４０度を超す４月の暑い時期と、１０月の雨季の最後の湿度が高くなる時期には、蚕も弱り、病気になりやすい。今はまだ３月。でも、今年はいつもより暑さが早くやってきた。そして、蚕も元気がない。暑さに負けて病気になり、死んでいく蚕の数が例年よりも多い。

　蚕は生き物。そんな自然の変化に反応しながら、蚕が住みやすい環境を工夫しつつ暑さをしのいでやる。蚕を飼う家は、木々の陰になって、半日陰ぐらいがちょうどいい。逆に、完全な日陰にあると、雨季の時期に湿気にやられてしまう。

　そして、これは例年のことなのだが、３月に入って、いくつかの井戸の水が枯れ始めた。「伝統の森」の中には、井戸がたくさんある。でも、場所によって水質も違うし、乾季に枯れる井戸と枯れない井戸がある。全体としては、粒子の細かい砂質の土壌のせいで、２０メートル以上深く掘っても砂が混じっている。なかなかきれいな水を得ることはむつかしい。井戸掘りを繰り返し、メンテナンスをしても、それでも放棄せざるを得ない井戸も１０を超えた。

　「伝統の森」の奥、工芸村のエリアの井戸の周囲は、人口密度が高い。一本の井戸に約１４家族、４０人ほどが頼ることになる。わたしの家の前の井戸は５家族、１５人ほど。昨日も、水がないから夕方の水浴びができない、とオバアが私の家にやってきた。それぞれの井戸は、電力ポンプで揚水し、タンクに貯めて各家に給水している。しかし、渇水傾向のこの時期は、まめにタンクの水を貯めてやらないと、水切れになってしまうのだ。

　そんなオバアの姿を見ながら、あらたに井戸をもう一本掘ることにした。近くの村の、井戸掘り職人のおじさんに見に来てもらうことに。つい最近も、新しくできた「伝統の森学園」の敷地に新しい井戸を掘ってもらったばかりだ。こちらは、深さ７メートルの素掘りである。

　とりあえず、電気はなくても、水と土、これが生活の基本。土が在り、水を注げば、そこから芽が出てくる。とてもシンプルなこと。土を耕し、野菜を育て、牛を飼い、アヒルや鶏もいる。

　自給自足の生活そのものを目指してきたわけではない。しかし、織物を生み出す自然環境の再生と自給を実現しているうちに、結果的には、そこに暮らす人たちの生活と、社会環境の自給的（持久的）再生をも実現することになった。

　そんなことを、改めて実感しつつ、それらがひとつにつながっていくことを自覚することになった。

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<title>カンボジアの英字紙「プノンペンポスト」で紹介されました。</title>
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<![CDATA[　３月１９日付のカンボジアの英字紙「the Phnom Penh Post（プノンペン・ポスト）」に、"A man of the cloth"のタイトルで紹介されました。

<a href="http://www.phnompenhpost.com/index.php/2010031933866/Siem-Reap-Insider/a-man-of-the-cloth.html">「the Phnom Penh Post」</a>
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<title>ＢＳ日テレ特別番組「世界で勝負！グレートジャパニーズ」のご紹介</title>
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<![CDATA[　先日、わたしが受けたテレビの取材は、ＢＳ日テレの３月２８日（日）の夜７時から８時５４分までの放送予定の特別番組です。どのような仕上がりになるのでしょうか？　みなさま、ぜひともご覧ください。


<a href="http://www.bs4.jp/guide/entame/great_jp/">ＢＳ日テレ「世界で勝負！グレートジャパニーズ」</a>
３月２８日（日）　１９：００～２０：５４]]>

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<title>朝の珈琲</title>
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<published>2010-02-16T08:06:35Z</published>
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<content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://iktt.esprit-libre.org/">
　数人の女性たちのざわめきで、何事かなと思いながら目が覚めた。そうだ。昨日から始めた繭から糸を引く作業の準備が、わたしの家の前ですでに始まっているのだ。

　石で簡単なかまどを作り、そこに大きめの素焼きの壺を置き、火を起こす。もちろん薪で。この壺で、繭を茹でて糸をひく。昔ながらの簡単な道具によるやりかた。日本では、座ぐりと呼ばれる技法である。そして&quot;釜茹での刑&quot;になる蚕たち。黄色い繭から、鮮やかな黄色い生糸が引かれていく。

　お母さんの周りには、たくさんの子どもたちが集まり、茹で上がった蛹を、おやつにもらうことを楽しみに待っている。座ぐりの素焼きの壺は三組。それぞれに、三人がついている。一人は、糸を繭から引く係。二人目は新しい繭を壺に入れる係。もう一人は、糸が引かれたあとの、おやつになる蛹を取る係。そして、その横では、若い女性が引き上がった生糸を膝に載せ、糸筋を整理している。十数人の女性たちが手際よく働く姿は、見ていて、とても微笑ましい光景。そして男たちは、薪を割り、運んでくる。

　この女性たちの多くは、カンポット州からの移住組。２００３年以降、「伝統の森」での桑畑と養蚕の事業開始のために、４００キロの遠路をはるばる来てくれた、村の養蚕のプロたち。

　わたしの、彼ら彼女らとの最初の出会いは、１９９５年２月。考えてみれば、早いものでもう１５年になる。そんなことを思い出しながら、目の前で引かれていく黄色いきれいな生糸に見入る。
　ユネスコの調査で、カンボジア各地を回り、途絶えているとされていた養蚕の村を探していた。そんななかで出会ったのが、カンポット州タコー村。内戦前には、養蚕が盛んだったという。しかし、人づてに聞いて、わたしが村を訪ねたとき、もうその面影はなかった。それでも、この村には養蚕のための道具が大切に残されていた。その道具類を見て、わたしは驚いた。なぜなら、アジアの他の地域では消えてしまった手法と道具が、そこにあったから。なかでも、驚きだったのは、蚕が繭になるために糸を吐くときに置いてやる床、「まぶし」といわれる道具が、自然の生葉の木の枝を束ねたものをそのまま使っていたことだった。

　その後、あらたな調査では、さらに驚くべきことが見つかった。それは、桑の木の原産地が、中国ではなくカンボジアであるということ。内戦以前に、養蚕が盛んだったという村をカンボジア各地に訪ね、その村の畑の片隅に残る桑の木の枝を集め、その枝のＤＮＡ鑑定を専門家にお願いした。その結果、カンボジアにしかない桑の木のＤＮＡがあることが判明した。残念ながら、その後の追跡調査を完了していないために、学術的にそれを証明することはまだできていない。だが、それをわたしは、シルクのカンボジア起源の仮説の根拠とさせていただいている。このことと重ね合わせたとき、タコー村に残されていた生葉による「まぶし」の存在は、この伝統が太古より受け継がれてきた養蚕の知恵と、その証左であるように思えるのだが、どうだろうか。

　そんな話を、機会があるごとに国際機関や政府の方などにも説明させていただいているのだが、わたしの仮説を本当に信じていただける方はなかなかいないようで、残念だが、その後の調査と分析を実施するには到っていない。そのことに本気で興味を持たれる専門家の登場と、そのための調査予算が計上されるまで、もうすこし待たざるをえない。

　内戦で途絶えていた村での伝統的養蚕を再開しようと、タコー村に蚕の卵を届けたのが１９９５年の７月。改めて９月には、蚕を繭の状態で届け、ようやく養蚕再開を果たすことができた。そのときの、村のおばあやおじいの、息子や娘にあたる若者たちが「伝統の森」にやって来たのは２００３年のこと。彼ら彼女らは、ここでは桑畑の世話と蚕を育てることが主な仕事。そしていま、タコー村の伝統の知恵が、わたしたち「伝統の森」に甦っている。

　５０００年か、それ以上の歴史を持つであろうカンボジアの養蚕。その蚕は、黄色い糸を吐く。その糸は、昔ながらのシルクのよさをもっている。一方の、最近の中国では、蚕も人工飼料で飼われはじめているらしく、そして大量生産のために品種改良されすぎた結果なのか、その糸は昔の良さや強さに欠けるものとなっている。そのためか、カンボジアの黄色い生糸が、あらためて見直され、評価を受けるようになった。

　カンポット州などの地域では、内戦のなかで、その養蚕の伝統は消えていた。だが、バンティミェンチェ州のプノムスロック周辺には、養蚕の伝統がかろうじて残されていた。そして、その村々は、いまではカンボジアを代表する養蚕の村として知られるようになった。

　しかし、伝統的な養蚕による生糸の絶対量は限られている。タケオなどの織物の村で使われている生糸は、ほぼ１００パーセントが、機械で引かれた白い輸入生糸。その輸入量は年間５００トンともいわれている。一方、プノムスロックでは、手で引かれた在来種の黄色い生糸が生産されてきたが、その生産量は年間５トンにも満たない。

　パキスタンあたりの、高級ペルシャンカーペットを作る企業が、カンボジアの黄色い生糸を使って、昔ながらの高品質のカーペットを作るために生糸を買い占めるという噂もある。そんななか、プノムスロックの生糸は引く手あまた。フランス系の元ＮＧＯだった企業が、村に入り、村人の囲い込みを始めているという話も伝わる。そのせいか、ＩＫＴＴでも使っていたプノムスロックの生糸が、最近では入りづらくなってきた。

　フランス系のその企業は、繰糸の機械を持っており、農家から繭を買う。しかし、その機械に掛けて繰り糸をするには、大きな繭が必要になる。日本や中国の品種改良された繭は、一個で１２００メートル以上に糸が引ける。しかし、小さなカンボジアの黄色い繭はせいぜい３００メートルほど。そのため、蚕の交配種を村に持ち込み、機械繰糸に向く８００メートルを可能にする大きな繭の生産を進めてきた。その結果、在来種の小さな蚕は、簡単に絶滅してしまった。

　そのかわり、交配種ながら、フランス系企業が買わないような小さい繭が、村からＩＫＴＴに届くようになった。そんな小さな繭であっても、大切な蚕の作った繭であることは同じなのだが。

　プノムスロックの村人も、最近では繭のままで売れるようになったため、自分たちで手引きの糸にする作業を厭うようになってきた。近代化は、こうしていとも簡単に伝統を壊していく。その結果、ＩＫＴＴでは生糸ではなく繭で買うことになり、「伝統の森」では繭から手引きする回数が増えている。

　数日前にも、約５０キロの繭がプノムスロックの村から届いた。その繭から糸を引くために、朝早くから、「伝統の森」での糸引きが始まったのだった。そして、わたしは、そのざわめきのなかで起こされた。

　でも、「伝統の森」の村の女性たちは、元気で手際がいい。目の前には１５年前のタコー村で、わたしがはじめて見たときと同じ道具類が並べられ、繭から糸が引かれていく。１５年前の、あのときの光景を思い出しつつ、そんな朝の作業を見ながら、今朝は珈琲を飲ませてもらった。

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